2026年1月から新体制での活動を開始した9mm Parabellum Bullet。2025年末をもってドラマーのかみじょうちひろが脱退し、ギタリストの滝 善充がドラムを兼任するスリーピースの編成となった。
2026年9月9日の「9mmの日」には、新曲「レーゾン・デートル」をライブ会場と通販限定でリリースし、同日から全国ツアー『9mm Parabellum Bullet Tour 2026-27「Raison d'être」』もスタートする。9月6日に昭和女子大学人見記念講堂にて開催される自主企画「カオスの百年 vol.22」は2部構成で行われ、1部は3人編成、2部はサポートメンバーを迎えた5人編成でのライブとなる。
バンドが大きな転機を迎えるなか、3人は何を思ったのか。新体制となって最初のインタビューで語ってもらった。
取材・文/柴那典
この大ピンチを一番拳に力入れた状態で切り抜けたい(滝)
――新体制の9mm Parabellum Bulletを始動するにあたって、みなさんにどういう思いがあったのかをまずは訊かせてください。滝さんはどうでしょうか?
滝:ドラマーの脱退を受けて、いろんなことを一気にバーッと考えたんですけど、とりあえず、9mmを止めるつもりはなかったです。正直、活動休止レベルの大ピンチだと思ったんですけど、私が一回不調で離脱した時も、みんな気合いを入れて続けてくれたわけだし。それをここで返そうということも最初に考えて。で、続けるんだったら、最初にドラムにコンバートしてやろうと考えたんです。
――まず滝さんがドラムを叩こうと決意した。
滝:ただ、障壁があまりにも多いので、何回も考えました。単純に自分がその技術まで辿り着けるかというのもあるし。理由がハッキリしないままこの体制になって、俺がドラムを叩いていることを世間の人が認めてくれるのかみたいなことも考えたんですけど。それでもやっぱり、この脱退騒動の消化不良的な部分を吹っ飛ばしてしまいたい、この大ピンチを一番拳に力入れた状態で切り抜けたい、というのが最初に考えていたことで。他のやり方はいくらでもあったけど、自分がドラムを叩いてこのピンチを乗り越えたい。そういうことを、自分としてもバンドとしても経験したい。これが一番いいやり方だって信じて、それを選択するような人間でありたいし、バンドでありたい。で、菅原も中村も話に乗ってくれましたから。やるとなったら、あまり前例がない話だし、自分たちで道を切り開くしかないと思うと、俄然面白いなと思いました。
――菅原さんは、どんなことを思いましたか?
菅原:まずはどうやってライブをするかですね。それまでツアーしていた編成があるんだから、サポートとしてもう一人ドラマーを追加して、とりあえずその状態を維持することを最初に考えていたんです。それで何も不足はないし。滝がドラムを叩けるんだから、少なくとも短いライブは滝に叩いてもらえばいいんじゃないかとは思いましたけど、それも武田くん(武田将幸/HERE)と裕也(爲川裕也/folca)の2人のサポートギターは念頭に置いてやるのがスタートかなと。でも、滝の熱意を聞いたら一番大変なやり方かもしれないけど、一番面白いやり方でもあるなと感じて「じゃあやるしかないか」と覚悟を決めました。
――中村さんはどうですか?
中村:去年の12月には新体制に移行するミーティングを何度かしていて。たまたま滝さんがいないタイミングのときに、サポートドラマーを誰にしようかと卓郎さんと2人で話したことがあったんです。何人か候補を挙げていく中で「もしかしたら、滝さんが自分でドラムを叩きたいって言い出しそうじゃない?」っていう話になって。「サポートのスケジュールが合わなかったら、そういうことになっても悪くないよね」という感じで、いくつかある選択肢の一つとして、頭の片隅にはあったんです。そうしたら滝さんがものすごくやる気で。自分の心の準備はできていたし、始まる頃には自分もかなりポジティブな状態になっていたので、何の不安もありませんでしたね。
――かみじょうさんの脱退が決まった段階で、バンドを続けるか、活動を休むか、そこは迷わなかった?
菅原:休むというのは考えてなかったです。
中村:全然なかったですね。スケジュールも決まっていたので。
――続けるにあたってのいくつかの選択肢があった中で、一番あり得なさそうな選択肢をあえて選んだ、と。
滝:そうですね。リスクが多いし、得るものが何かすらもよくわかってなかったんですけど。
一番理解している人がドラムを叩くというのは、ものすごく意味がある(中村)
――そもそも滝さんがドラムを始めたのはいつ頃だったんでしょう?
滝:実は、高校時代から叩いていて、もともと自分はドラマーだと思ってたんです。でも、大学で上京して、アパート住まいでドラムの練習ができるわけもなくて。どんどんドラムから離れていくから、ドラムはもうお休みにして。部屋で練習できるギターでバンドをやって楽しく暮らそうかなって思って組んだのが9mmだったんです。だから初期はドラマーとしての頭で考えたアイデアもあります。最初はそういう気分で、そこからだんだんギターが上手になってきて、昨年まで来たという感じです。
――以前の記事でも読みましたが、2016年に左腕の不調で滝さんがライブ活動を休止した後、茨城の実家の倉庫に自分のスタジオを作ったんですよね。
滝:そうですね。もう10年くらい前から着工して、ちょっとずつ拡張したりして、そこでかなりの時間を過ごしましたね。かなりの制作もしましたし。
――そこは大きなターニングポイントだったと思うんですが、そこから滝さんの中で9mmに対しての思いはどう変わったんでしょうか?
滝:そのスタジオを着工する直前は腕の状態がマックス悪くなって、ずっと指が攣り続けているみたいな感じで。ギターも触りたくなかったんですけれど、そういう時にもドラムは叩けるし、音楽はやりたい。できることをやりたいから、ドラムを叩きたくてスタジオを作ったというくらいの話なんです。そもそも、自分の中では、音楽においてドラムが鳴っていることの優先度が高いので。絶望感、悲壮感の漂う生活をしてたんですけど、ドラムを叩けるようになって、元気をもらえて踏みとどまれたようなところもあったなって思いますね。スタジオの存在のおかげで、バンドに両足を突っ込んだままここまで来れたなって思います。
――新体制で滝さんがドラムを叩くことになって、そこからどう話が進んだんですか?
菅原:まずは1回リハに入ろうということになって、12月にリハーサルをしました。滝はドラムでもギターでも、演奏のタイム感が変わらないんです。僕はキツネツキでも滝のドラムと一緒に演奏してきたから、その時も思ってたことなんですけど。だから、滝のドラムで9mmをやってもギャップは全然感じなくて。もちろん楽器の点数も、その場で鳴っている音も違うから、違いは当然あるんだけど、大きく変わりがないというか。何に乗っかって演奏するのかが同じなんですよね。出発点としてまずは安心できた。その後に、じゃあ楽器をどうするか、滝のギターを鳴らすアンプをどこに置くか、という話になっていき。あとはステージでの音量をどうするかとか、それまで僕らは誰もイヤモニをしてなかったから、導入するのか__結局しなかったですけど__3人でやる時の音のバランス、どうやって環境を作るのかを話して。今もずっとあれやこれや試しながらやっています。
中村:まだまだ発展途上ですね。
――中村さんはどうでしょうか。リズム隊としてコンビを組む相手が変わったわけですが。
中村:曲にもよるんですけど、滝さんが書く曲って、メロディーだけじゃなくて、リズムやテンポ感、グルーヴ感みたいな、そういうところにもすごくこだわりを感じるんです。それを一番理解している人がドラムを叩くというのは、ものすごく意味があることで。そういう意味で学びがありますね。自分も今までより曲に入れている感じがする。すごくいいです。
最初からギターとドラムをあんまり切り離して考えてない(滝)
――滝さんはいかがですか? ドラマーとしてリハに入ってみて、実感はどうでしたか?
滝:そもそも、最初からギターとドラムをあんまり切り離して考えてないですね。だからみんなと合わせてる時のギャップも全然ないです。結局、経路が違っても、表現したいものが変わらないから。むしろドラムの方が肉体的な達成感があるな、くらいの感じです。ただ、最初の頃はどのくらいぶっ叩けばいいのかわからなかったから。最初にスタジオに入った時はとにかく全力でぶっ叩いて、2曲くらいでバテちゃったりしましたけど。そこの感じもすぐにわかったし。そのまま今に至ってますね。このあいだは久しぶりにギターでライブをやりましたけど、ちょっと懐かしい感触だなって思ったくらいで。
――具体的には、どういう仕組みで演奏しているんでしょう?
菅原:滝が録音したギターをシーケンスとして使うんですが、同時に流れるクリックを聴くのは滝だけ。そのドラムに合わせて僕らが演奏しています。だから、全員が同じクリックをシビアに聞きながらやるタイプの同期じゃなくて。こんな言い方をしたらあれだけど、ギターのカラオケに合わせて演奏してるのと変わらないぐらいの、原始的な状態なんですよ。だから、僕らがやっているアンサンブルは、「ギターはシーケンスなんだぜ」と大口を叩けるようなものではなくて(笑)
滝:そんなオシャレなものではないです。
菅原:ただ最初は、僕は元々の自分のパートだけを弾いてライブをしたんです。でもやってみてすぐに、生のギターでソロやリフが鳴った方が盛り上がるタイミングがあるとすぐわかった。滝のギターは曲として絶対欠かせない、でもライブでは更に僕が弾いた瞬間に「ああ、納得!」みたいな瞬間が訪れるんですよね。なので、今日はここを弾いてみようとか、逆に弾こうとしすぎると歌えないとか(笑)みんなにも相談しながらやってます。
――滝さんはどうでしょう? ステージに立ってみての感触、見える風景はどうですか?
滝:見える風景は「俺、後ろだな」って感じで。それが楽しいです。たとえばいつも最後にやる「Punishment」のギターソロの時って、みんな前に出るんですよ。その時もドラムに座ってるから前に出られないはずなのに、前に出なきゃダメだみたいに思う気持ちがあって。やっぱりギターソロは前に出て弾くのが正解なんだなって思いますし、その時に一番ドラムであることのギャップを感じます。それ以外は特にあんまり気にしてないですね。
――中村さんはステージに立ってみて、どうでしたか?
中村:僕がやってることは旧体制の頃とあんまり変わらないので、逆にそういう違いを客観的に楽しめる立場というか。お客さんの反応を見ても、以前と違う感じを楽しんでもらえてるんだろうなって思って見てます。
この3人がやってる状態は正解なんだという感覚がある(菅原)
――僕が3人編成のライブを観て感じたのは、3人でやってると、同じ音が鳴ってたとしても、違う音楽に聴こえてくるような感触で。わかりやすく言うと、パンクロック感が増しているように感じたんです。骨組みだけで伝わってくる感じというか。このあたりはどうでしょう? アレンジやアンサンブルが変わったのか、何かしら別のものがあったのか。
滝:単純にやっぱり、前ドラマーと比べて、私のドラムが圧倒的にパンクだなって思います。出音の種類が全然違うタイプのドラマーであるなって思いますし。何にしろ、とにかく全力でぶっ叩きますので。そういうスポーティな喜びをもっと伝えたいというタイプの人間なので、パンキッシュに感じてもらえたのならば、それが出せたのかなっていう。自分のドラマーとしてのいいところが出たんだな、長所であるなって思います。
――中村さんとしてはどうでしょう、リズム隊でコンビを組む相手として、かみじょうさんのプレイスタイルと滝さんのプレイスタイルの違いって。
中村:今、滝さんが説明したその通りで、ぶっ叩くっていうところで、曲の持ち味がより強調される瞬間がやっぱりあって。僕からすると、滝さんがギターを弾いてる時とドラムを叩いてる時の、プレイヤーとしての印象が同じなんですよ。どっちもずっとアグレッシブで。ドラマーの時はその場から離れることはできないんだけど、それでもすごい暴れてる印象がある。そのイメージが曲の中に落とし込まれてる感じがするんですよね。パンクっぽい感じってそういうところなのかなって思いますね。
――菅原さんはどうですか?
菅原:僕は3人で演奏してると、9mm Parabellum Bulletの純度が100%だなって感じて。サポートが入ったら純度が下がるとかじゃなくて、この3人がやってる状態は正解なんだという感覚がある。3人がバンドの核で、今は5人編成がオプションですけど、例えば4人とか、他にゲストを入れて6人になった時でも、それは3人の状態が拡張したものだっていう感じがするんですよね。濃度がめちゃくちゃ高くて、曲の解釈も「ああ、これが正解だったんだ」と感じる。メンバー同士でよく話すんですけど「やっと本当の形がわかったね」と口から出る時があるんですよね。それはやっぱり作曲している人がドラムでバンドを指揮しているわけだから。監督がプレイしているという感じなのかなあとは俺たちパンクだなーとか、22年かかってロックンロールバンドになったね、みたいなことをよく言い合ってますね。「これが9mmです」って、曲の面でもパフォーマンスの面でも打ち出せる形だなって思います。
ロッキーは大学の後輩で。大学の仲間の気心の知れた感じは大きい(滝)
――5人編成のライブも拝見しましたが、これもバンドの音楽が新たに解釈されているような感触がありました。サポートの人選も含めて、どういう意図と、どういう経緯の中で決まったんでしょうか?
菅原:サポートギタリストは、このタームは武田くんが弾いてくれてますけど、もう一人の裕也も、僕らとしてはファーストコールなんですよ。どちらかにお願いしたいという人選は揺るがない。ドラマーのロッキー(渡部宏生/Heaven in her arms、SZKN)についても、最初に候補に挙がりましたね。
――ロッキーさんとみなさんとの付き合いはとても長いと聞きました。
滝:ロッキーは大学の後輩で。最初にロッキーがサークルに入ってきた時には、9mmはもうインディーからリリースをしてライブをしているような状態だったんです。サークルで中村とコピバンをやってるのを見て、すげえ上手いやつが入ってきたなって言って。その後もいろんなところで合わせてきて、envyのサポートも一緒にやってるし、昔から9mmを知ってる人だし、大学の仲間の気心の知れた感じは大きいかもしれない。
――滝さんとロッキーさんがenvyでサポートをしてる時とも違う感じになるんですか?
滝:そうですね。envyの時はやっぱりenvyの凄まじい世界を感じながら、とんでもない音と、とんでもない広がりの中で演奏してるなって思うので。あっちは本当に貫禄があって、一発一発が重くて。私ももうちょっとローを出さないといけないのかなって思うくらい重い表現で。でもロッキーを9mmに連れてくると、やっぱり9mmはバタバタが命ですから、ロッキーもすげえバタバタしてくれて。わかってらっしゃるな、すげえいいなと思います。
――5人でステージに立っての感触はどうでしたか。
滝:違和感なく、パワフルだな、派手だな、すごいエネルギーだな、という感じでした。スタジオに入って、この辺は少し早かったな、遅かったなっていうのを2、3個話しただけで。あっという間に仕上がりました。
中村:ただただ、とにかく楽しかったですね。ロッキーと初めて一緒にスタジオに入ったのはもう20年以上前なんですけど、そのときの感じと変わらなかった。その時からこいつすげえなって思ってたし、この間のライブでも同じことを思いました。楽しかったです。
菅原:こういう言い方するとあれなんですけど、ただ楽しいだけでいられる感じです。スリーピースだとやっぱり「これが俺たち9mmなんだぜ」っていうところを余すところなく出したいし、しっかりと表現したい。そうしないと成立しないような気がするから、力の入り方も違います。でも、5人で演奏していると、同じつもりではいるんだけど、演奏の喜びが勝っちゃう。それくらいのパワーがありますね。
大事にしてるのは幅ではなくて、表現の濃度(中村)
――9月6日に昭和女子大学人見記念講堂にて開催される「カオスの百年 vol.22」は2部構成とのことですが、この先も3人編成と5人編成という2つのスタイルでやっていく感じですか?
菅原:そうですね。9月6日の人見記念講堂のライブは2部構成で、1部がスリーピース、2部がファイブピースなんです。ツアーの1本目より前の特別な日だから、お披露目というか、これでツアーを回っていくのを見てもらおうというライブなんです。
――この編成になったことによって、9mmでやれることが増えた感じがありますか? もしくは変わらない感じでしたか?
滝:むしろ変わらないように、変えないようにして頑張ってきた感じですかね。できるだけ欠損する部分を感じないようにやってきたっていうところがデカくて。でも、今後の広がりは感じますね。いろんなことができるようになったっていう単純な楽しみと、やっぱり3人でやった時、5人でやった時の感触の違いの楽しみもあるので。そのくらいかと思いますね。
菅原:去年まで、ツアーとかその時々のライブで「こういう風に演奏したいから、こんな風に叩いてほしい」とか「BPMを変えてみようか」とか「ここはちょっと早めに行って、ここは後ろめにしよう」とか、常に試行錯誤していたんです。でも、滝がドラムになって3人で演奏しただけで、曲の解釈にまったく迷わなくなったんですよ。「これが正解だ」って。自分たちが9mmでやりたいと思ってた形は、このやり方でちゃんと現れるんだということを感じて。得たものというより、持っていたのに使えなかったものをもう一回獲得したみたいな感じがするんですよね。これは今までがダメだったと言ってるみたいに聞こえちゃうかもしれないし、言い方が合っているのかどうかわからないけれど、すごく大事なことで。今の方がより、楽曲の正しい形にすごく近いっていう感覚がある。これまでレコーディングされた音源と滝が叩いているフレーズとは違うかもしれないけど、それでも、今3人や5人でやっている状態のほうが、より9mmらしいというか。これを伝えたいんだよねとか、これがやりたかったんだよと強く感じています。
中村:表現できることが増えたりとか、幅が広がるみたいなのもあるにはあるんですけど、無理やり広げていこうっていう感じはあんまりないですね。やれることはあるんだけれど、大事にしてるのは幅ではなくて、表現の濃度というか。この半年くらい、より深いところを掘っている実感があります。
TOSHI-LOWさんに「俺は猛烈に感動してるぞ」って言われました(滝)
――バンド仲間やファンなど、周囲からの反響やかけられた言葉で、印象に残っているものはありますか?
菅原:ファンの人たちは「続けてくれてありがとう」って言ってくれる人ばかりでした。僕らは止める気も全くなかったから、バンドの姿勢で「大丈夫だよ!」と伝えようとしていたんだけど、自分がファンであるバンドに何かあればショックだし、不安や動揺があったことにあらためて気が付きました。だけどいろいろな気持ちがあるにせよ、バンドが続いていることに「ありがとう」って言ってくれることに、僕らの方こそ感謝しています。どんな気持ちでライブを観にきてくれるんだろうって考えてたんだけど、ステージに向かってお客さんが駆け寄っていくのが楽屋のモニターとかで見えるじゃないですか。ライブを重ねていくと、その姿もワクワクしてるようにだんだん見えてきて。そこでより僕らも感謝して。いざステージに立ったら、やっぱりみんないい顔してるし。混じりっ気なく楽しんでくれて嬉しいという感じです。仲間のバンドマンたちも言ってくるのは「ありがとう」みたいな感じで。
中村:熱い感じでしたね。
菅原:特に、滝にドラマーたちが集まってくるんです。
滝:ライブをやると、楽屋に対バン相手のドラマーが来て、ドラムの話をしますね。「ツーバス大変ですよね」とか、そういうことを言われたり。昔から対バン相手のドラマーとばっかり喋っちゃう癖があって。なのでそこもあまり変わらなくて。あとは、BRAHMANと対バンした時に、TOSHI-LOWさんに「俺は猛烈に感動してるぞ」って言われました。前にBRAHMANのギターがやめちゃった時に、それでもバンドを止めたくないからTOSHI-LOWさんがギターを弾いていた事があって。だから今の9mmを見ていると、それが重なるし、気合いが入ってるなって。
菅原:近年のバンドのピンチの切り抜け方で一番良かったよって言われましたね。
MCで何か喋るよりも、この曲を演奏することがメッセージになる(菅原)
――新曲の「レーゾン・デートル」についても聞かせてください。新体制でのライブでも披露されてきましたが、これはどのタイミングで出来たんでしょうか。
菅原:この曲は去年録り終わってて、もう完成してたんです。ただ、1月の時点でライブをする時に、何にも自分たちから新しいものがないのはちょっと嫌だし、「レーゾン・デートル」をやろうということに自然となりました。歌詞の内容も、なぜかその時の自分たちにすごくしっくりくるようなものだったから。
――バンドの今を象徴するような歌詞になっているわけですが、これは偶然だった?
菅原:本当に偶然です。その時は歌詞が全然できなくて、じゃあそのフラストレーションをそのまま書けばいいんだ、それでもいいじゃんロックンロールな曲だし、って投げやりに自分を鼓舞するようなイメージで書いてたはずなんだけど。いざ脱退が決まった後に歌詞を見返したら、「むしろ今の俺たちにしっくりくる」と感じて。まだみんなが今の9mmのライブに対して戸惑いがある段階でも、MCで何か喋るよりも、この曲を演奏することがメッセージになるはずだと思えました。巡り合わせっていうか、変な話だけど、なんでこれを用意してたんだろう、みたいな感じです。
――この歌詞の最後の「最善策の 荊の道を 逃げずに行くんだよ」というラインって、ここまで話してくれたことを一行にまとめるなら、そういうことですよね。
菅原:本当にね。滝が最初から言ってたことなんです。
――リリースされる音源は滝さんがドラムを叩いているんでしょうか?
滝:ドラムのみ差し替えました。昨年の時点でギター、ベース、歌まで全部録り終わってたんですけど、その全てを残して、ドラムは私が叩きました。条件はかなり厳しかったですけど、とにかくパワーでぶっちぎれって感じで録って、どうにかなったのかな、みたいな感じです。あとは、自分のドラムがすごい好きなんで「いいな」って思いながら聴いていますね。とてもいいです。
――言葉としても音としても、9mmがもう一度始まるということの象徴のような曲になったのではないかと思います。
菅原:まさに。
滝:最初にドラムをやらせてくれっていう話をした時にも、「レーゾン・デートル」もやっちゃおうぜ、みたいなことを勢いで言ってたりしたんですけど。歌詞の内容まではよく覚えてなくて、後で歌詞を見てみたら「やっぱこれしかない」って時間が経ってから思いましたね。今やるべくしてやってる曲なんじゃないかなと思います。
蓋を開けてみたらどんな風に感じるのか、ワクワクしてる(菅原)
――9月9日からは全国ツアー『9mm Parabellum Bullet Tour 2026-27「Raison d'être」』が始まります。全国24ヶ所、ファイナルは2027年2月23日のShibuya LOVEZという長いツアーになりますが、ここに向けては今どんなことを皆さんとしては考えていますか?
菅原:ツアーでは、3人編成と5人編成がエリアによって変わってて。自分たちでは、まだ自覚的に、こういう曲をやろうってコントロールしてるつもりでいるけど、蓋を開けてみないとわかんないところだらけのはずなんです。3人だとこういう曲の方がいいなとか、5人だとこっちだったなとか…。だから、これから9mmがどんなふうにライブをしていくのか、ファンの皆さんが楽しみにしているように、俺たちは俺たちで「さあ、どうなるんだろうな」と、ワクワクしてるって感じかな。
滝:私も、結局体当たりでやってみないともう分からないなっていうのは本当にそうだなと思うし。一本一本、ちゃんと新しいバンドとして成長していけるようなツアーにしたいですね。曲のレパートリーをもっと増やしたり、それも3人でやったり5人でやったりするうちに印象が変わるというか、こちらの解釈も変わってくるので。それを体当たりで楽しめるといいなと思います。
中村:バンドが新しく動き出して、今回のツアーをやってみてようやく見えてくる部分もあると思うので。楽しみです。